普段は中々聞く機会のない中学以降の進学の選択肢について、まとめました。高校行けるかしら？と心配の親御さんは早めに情報収集しています。高校受験なしで、高校に入る方法として、中学受験を選択されるご家庭もあります。
受験となれば、事前の準備が必要です。将来の選択肢を増やすために何がお子さんにとって最適か、お子さんとも進路を話し合ってみましょう。
中学校選びの3つの選択肢：支援学校、公立、私立の特徴
発達障害のあるお子さんの中学校選択は、将来の進路に大きな影響を与える重要な決断です。選択肢は主に支援学校、公立中学校、私立中学校の3つに分かれますが、それぞれに特徴があり、お子さんの個性や能力、ニーズに合わせて慎重に選ぶ必要があります。
支援学校は、専門的な教育環境と手厚いサポートが特徴です。自閉スペクトラム症（ASD）や注意欠如・多動性障害（ADHD）、学習障害（LD）など、より専門的な支援を必要とするお子さんに適しています。ここでは、個別の教育計画に基づいた指導が行われ、生活スキルや社会性の育成にも力を入れています。
公立中学校は、地域社会との繋がりを保ちながら教育を受けられる環境です。多くの公立中学校では、通級指導教室や特別支援学級が設置されており、お子さんの状況に応じた柔軟な対応が可能です。ただし、学校によって支援体制に差があるため、事前の見学や相談が重要です。
私立中学校は、特色ある教育プログラムや少人数制の指導など、独自の強みを持っています。発達障害に対する理解や支援体制が整っている学校もありますが、入学試験や面接などの選考過程があるため、お子さんの適性と学校の受け入れ態勢を十分に確認する必要があります。
どの選択肢を選ぶにしても、事前の見学会や説明会、可能であれば体験入学などに参加し、お子さんと一緒に雰囲気を感じることが大切です。また、入学前の面接や相談の機会があれば、お子さんの特性や必要な支援について詳しく伝え、学校側の対応可能性を確認しましょう。
公立中学校の支援体制：通級、情緒支援級、知的級の特徴
公立中学校には、お子さんの特性や必要な支援の度合いに応じて、通級指導教室、情緒障害特別支援学級（情緒支援級）、知的障害特別支援学級（知的級）などが設置されています。これらの支援体制は、お子さんの学習や社会性の発達を促進するために重要な役割を果たします。
通級指導教室は、通常の学級に在籍しながら、週に数時間、専門的な指導を受ける形態です。学習障害（LD）やADHDのあるお子さんに適しており、個別の学習支援や社会性スキルの指導が行われます。
情緒支援級は、自閉スペクトラム症（ASD）や情緒面での困難を抱えるお子さんを対象としています。少人数制で、個々の特性に応じた学習支援と社会性の育成に重点を置いています。
知的級は、知的障害のあるお子さんを対象とし、基礎的な学習や生活スキルの習得に重点を置いた指導が行われます。
これらの特別支援教育では、「取り出し授業」という形で、通常学級での授業の一部を別室で個別指導を受けることもあります。これにより、お子さんの苦手な分野を重点的にサポートしつつ、得意な分野では通常学級で学ぶことができます。
入学前には、見学会や面接の機会が設けられることが多いです。小学校から案内が来ることが多いです。この機会を利用して、学校の支援体制や教育方針を詳しく確認し、お子さんに最適な環境を選択することが重要です。
高校進学の選択肢：多様な進路と将来の展望
高校進学に関しては、支援学校、公立高校、私立高校、通信制高校、専修学校など、多様な選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、お子さんの特性や将来の目標に合わせて選択することが重要です。
支援学校高等部は、中学部からの継続的な支援を受けられる環境です。個別の教育計画に基づいた指導が行われ、職業訓練や社会生活スキルの習得に重点が置かれています。
公立高校には、普通科や専門学科など様々なコースがあります。一部の学校では、発達障害のある生徒向けの特別な支援体制を整えています。入学試験の配慮申請も可能な場合があるので、事前に確認することが大切です。
私立高校は、独自の教育方針や特色ある教育プログラムを持っています。発達障害に理解のある学校も増えてきており、少人数制や個別指導など、きめ細かな支援を受けられる可能性があります。
通信制高校は、自分のペースで学習を進められるため、集団生活や時間管理が苦手なお子さんに適している場合があります。また、スクーリングを通じて社会性を育む機会も提供されています。
専修学校は、実践的な職業教育を受けられる環境です。特定の職業に必要なスキルを集中的に学ぶことができ、就職に直結する教育を受けられる点が特徴です。
進路選択のポイント
高校選択において重要なのは、お子さんの特性と将来の目標を見据えることです。高校には中学校のような特別支援学級はありませんが、一部の学校では発達障害のある生徒向けの支援体制を整えています。
職業訓練を重視するか、進学を目指すか、また高校卒業資格の取得が目標かなど、将来の展望に応じて選択することが大切です。例えば、大学進学を目指すのであれば、学習面での支援が充実した学校を選ぶことが重要です。一方、就職を視野に入れている場合は、職業訓練や実践的なスキル習得に力を入れている学校が適しているかもしれません。
また、高校卒業資格の取得可能性も重要なポイントです。通信制高校や専修学校の中には、高校卒業資格が取得できるコースがあります。これにより、将来の選択肢を広げることができます。
高校入学試験対策と必要な準備
高校入学試験の内容は学校によって異なるため、早めに情報を収集し、準備を始めることが重要です。一般的な学力試験だけでなく、面接や実技試験、作文などが課される場合もあります。
また、多くの高校では、中学校の成績や出席状況なども重視します。特に出席日数は重要な要素となるため、中学時代から計画的に登校を続けることが大切です。
発達障害のあるお子さんの場合、入学試験での配慮申請が可能な学校もあります。例えば、別室受験、試験時間の延長、問題用紙の拡大などの配慮が受けられる可能性があります。これらの配慮を希望する場合は、早めに学校に相談し、必要な手続きを行うことが重要です。
まとめ：進路選択を成功させるには
発達障害のあるお子さんの進路選択は、個々の特性や能力、将来の希望を慎重に考慮して行う必要があります。中学校選択では、支援学校、公立中学校、私立中学校それぞれの特徴を理解し、お子さんに最適な環境を選ぶことが重要です。
高校選択においては、支援学校、公立高校、私立高校、通信制高校、専修学校など、多様な選択肢の中から、お子さんの特性と将来の目標に合った進路を選ぶことが大切です。
どの段階においても、早めの情報収集と準備が鍵となります。学校見学、説明会への参加、体験入学など、様々な機会を活用して、お子さんと一緒に考え、決めていくプロセスが重要です。
また、選択した学校でも、入学後の継続的なサポートや、必要に応じた支援の調整が重要です。教職員や専門家との密接な連携を図り、お子さんの成長を支える体制を整えることが、充実した学校生活につながります。
最後に、進路選択はゴールではなく、お子さんの可能性を広げるためのステップであることを忘れないでください。柔軟な姿勢を持ち、必要に応じて軌道修正を行いながら、お子さんの成長と自立を支援していくことが大切です。一人ひとりの子どもたちが、自分らしく輝ける未来へと歩みを進められるよう、家族や学校、社会全体で支えていくことが求められています。
