秋ごろから始まる、幼稚園の入園申し込み、小学校の就学相談・教育相談など、申し込みの時期が近づきました。新しい生活に向けての引っ越しを考えるかたも多いかと思います。そこで、今日は発達障害のお子さんを持つご家庭の引っ越し(新築)でのポイントを紹介します。暮らしやすい住まいを見つけて、楽しい新生活をスタートさせましょう。
【必読】発達障害児の引っ越し準備:情報収集のポイントと注意点
発達障害のあるお子さんの引っ越しを考える際、最初に行うべきは徹底的な情報収集です。特に就学を控えている場合、支援学級の有無や種類について調べることが重要です。
支援学級の種類について
- 通級指導教室
- 情緒障害特別支援学級
- 知的障害特別支援学級
これらの特別支援学級のいずれかがない小学校もあります。特に生徒数が少ない学校では、知的障害特別支援学級のみの場合も多いため、お子さんのニーズに合った支援が受けられるか確認が必要です。
県外への引っ越しを検討している場合は、さらに注意が必要です。自治体によって、手帳の認定となるIQの基準が異なる場合があります。また、利用できる障害者支援サービスも地域によって違いがあるため、以下のような詳細な情報収集が重要となります:
- 引っ越し先の自治体のホームページで障害者支援サービスを確認
- 教育委員会に連絡し、特別支援教育の体制について問い合わせ
- 地域の障害者支援センターに相談し、利用可能なサービスを確認
引っ越し後は、住民票の移動後に障害者手帳をお持ちの方は、新しい自治体の障害者支援課に相談することをおすすめします。ここで、地域の支援サービスや手続きについて詳しい情報を得ることができます。
ADHD・自閉症スペクトラム児の通学を考慮した理想的な住居選び
発達障害のあるお子さんの通学を考慮すると、住まいの場所選びは非常に重要です。幼稚園までは親が送迎することが多いですが、小学校入学後の自立した通学に向けて、以下のポイントを考慮しましょう:
- 学校までの距離:なるべく近い場所が理想的です。新学期には荷物が多くなるため、距離が近いほどお子さんの負担が減ります。
- 道路の状況:まっすぐな道など、覚えやすいルートが望ましいです。複雑な道順は、お子さんが迷子になるリスクを高めます。
- 交通安全:車の通行が少ない道路を選ぶことで、安全性が高まります。
- 寄り道の可能性:ADHDなどの特性がある場合、興味のあるものに気を取られて寄り道をしやすいことがあります。そのため、なるべく刺激の少ないルートを選ぶことも考慮に入れましょう。
最初は親子で登校練習をすることをおすすめします。お子さんの特性に応じて、以下のような支援を行うとよいでしょう:
- 視覚的な手がかり:目印となる建物や看板を一緒に確認する
- タイムマネジメント:時計の読み方や、出発時間の管理を練習する
- 安全確認:横断歩道の渡り方や、車に注意する場所を繰り返し教える
発達障害に配慮した医療・療育サービスの継続方法
遠方への引っ越しとなる場合、医療や療育サービスの継続が課題となります。新しい自治体で手帳を取得を考えている場合は、引っ越し先の障害者支援課に相談してください。手帳取得のための検査に半年以上も待たなくてはいけない地域もありますので、早めの相談がよいでしょう。
また、次の点にも注意が必要です。
かかりつけ医の変更
- 現在のかかりつけ医から紹介状をもらう
- 新しい地域の発達障害に詳しい医療機関を探す
- 場合によっては、遠方でも以前のかかりつけ医に通い続けるか検討する
療育サービスの確保
- 児童発達支援や放課後等デイサービスの空き状況を確認
- お子さんの発達状態に合った施設を探す
- 必要に応じて、事前に見学や体験利用を行う
これらのサービスは待機児童が多い地域もあるため、早めの情報収集と申し込みが重要です。また、ADHD,広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)や発達性協調運動障害(DCD)など、お子さんの特性に応じた専門的なサポートが受けられるか確認することも大切です。
感覚統合を意識した間取り選び:発達障害児に優しい住環境のつくり方
発達障害のあるお子さんの特性を考慮すると、住まいの構造や間取りも重要なポイントとなります。
賃貸の場合
- 鉄筋コンクリート造りを選ぶ:音の伝わりにくさが特徴で、お子さんの声や動きが隣家に伝わりにくい
- 1階の物件を検討:特に幼い年齢で多動性がある場合、階下への音の問題が解消される
- 遮音性の高い窓や壁:外部からの刺激を軽減し、感覚過敏への配慮となる
新築の場合
- 防音設計:家族間のプライバシーを確保し、お子さんの集中できる空間づくりを
- クローゼットの確保:整理整頓が苦手な場合でも、パイプハンガーや多段棚を設けることで収納しやすくなり、片付けの悩みが解消
- 感覚統合に配慮した設計:触覚や前庭感覚を刺激する遊び場や、落ち着ける空間の確保。狭くても何も物を置かない1室を確保できるとよい
間取りの工夫
- リビング学習スペース:親の目が届く場所で宿題ができるよう、リビングに学習コーナーを設ける
- 個室の確保:年齢が上がるにつれ、自分の空間を持つことが重要になる
- 静かな部屋の配置:感覚過敏がある場合、道路から離れた場所に寝室を配置するなどの工夫
発達障害児のストレス軽減:最適な引っ越し時期と環境移行のコツ
発達障害のあるお子さんにとって、環境の変化は大きなストレスとなる可能性があります。そのため、引っ越し時期の選択は慎重に行う必要があります。
理想的な時期
- 長期休暇中:夏休みや春休みなど、学校生活に影響の少ない時期
- 新学期開始の1~2ヶ月前:新しい環境に慣れる時間的余裕を持てる
避けるべき時期
- 就学や進学の直前:新しい学校生活への適応と引っ越しの負担が重なる
- 学期の途中:学習の連続性が途切れる可能性がある
引っ越し時の配慮
- 事前の準備:新しい環境の写真を見せるなど、視覚的な情報で準備する
- スケジュールの可視化:引っ越しの流れを視覚的に示し、見通しを持たせる
- 馴染みの物の確保:お気に入りのおもちゃや寝具など、安心できるものを優先的に運ぶ
特に就学前や中学進学前の場合は、引っ越し先の学校や教育委員会との調整が必要になります。これらの手続きにも時間がかかるため、十分な余裕を持って計画を立てることが大切です。
【まとめ】発達障害児の新生活成功のカギ:5つの重要ポイント
発達障害のあるお子さんとの引っ越しは、慎重な計画と準備が必要です。お子さんの特性を十分に考慮し、以下のポイントに注意しながら新しい住まいを選びましょう:
- 徹底的な情報収集:支援学級の有無、利用可能なサービスなど
- 通学しやすい場所の選択:安全で覚えやすいルート
- 医療・療育サービスの継続性の確保
- お子さんの特性に合った間取りと建物の選択
- 適切な引っ越し時期の選定と十分な準備期間の確保
これらのポイントを押さえることで、お子さんにとって快適で安心できる新しい生活環境を整えることができます。引っ越しは大きな変化ですが、家族で協力して準備することで、新生活を楽しみにする気持ちを育むこともできるでしょう。お子さんの成長と、家族みんなの幸せな暮らしのために、理想的な住まい選びを心がけてください。