発達障害を持つ子どもたちは、気持ちの切り替えが難しいという特徴があります。しかし、適切なサポートと環境の整備を行うことで、これらの困難を乗り越えることができます。学校や家庭での具体的な対応策を実践し、子どもたちが自信を持って成長できるよう支援しましょう。子どもの感情を理解し、ポジティブなフィードバックを提供することで、彼らの意欲を引き出し、気持ちの切り替えがスムーズになる手助けができるのです
目次：
- はじめに：気持ちの切り替えが難しいお子さんを理解しよう
- なぜ難しい？気持ちの切り替えの3つの理由 2.1 「いつも通り」が安心できる理由 2.2 感覚の敏感さが及ぼす影響 2.3 「次は何をするんだっけ？」の難しさ
- 学校での様子：どんなことが起きているの？ 3.1 教室での困りごと 3.2 先生たちへのお願い：効果的なサポート方法
- おうちでできる！7つの寄り添い方 4.1 「いつも通り」を大切にする工夫 4.2 リラックスできる空間づくり 4.3 「できたね！」をたくさん伝える 4.4 感情を言葉にしてみる 4.5 「次はどうする？」を一緒に考える 4.6 小さな成功体験を積み重ねる 4.7 遊びの中で学ぶ楽しさ
- 子どもの感情をコントロールする力を育てるコツ 5.1 声かけの方法 5.2 子どもの意欲の引き出し方
- まとめ：焦らず、ゆっくりと。お子さんのペースを大切に
はじめに：子どもを理解しよう
こんにちは、子育て中のパパ・ママの皆さん。今日は、発達障害のあるお子さんによく見られる「気持ちの切り替えの難しさ」について、一緒に考えてみましょう。
お子さんが急な予定変更に戸惑ったり、一つの活動から次の活動へスムーズに移れなかったりすることはありませんか？これは決して「わがまま」ではなく、お子さんなりの理由があるのです。まずは、その理由を理解することから始めましょう。
なぜ難しい？気持ちの切り替えの3つの理由
2.1 「いつも通り」が安心できる理由
発達障害、特に自閉症スペクトラム障害（ASD）のあるお子さんは、決まった予定や習慣を大切にします。例えば、毎日同じ時間に同じ順序で支度をすることで安心感を得ています。急な変更は、その安心感を揺るがすため、不安になってしまうのです。
2.2 感覚の敏感さが及ぼす影響
ADHDやASDのお子さんの中には、音や光、触感などに敏感な方がいます。教室の騒がしさや蛍光灯のちらつき、服のタグのチクチク感など、私たちが気にならないようなことでも、お子さんにとっては大きな刺激になることがあります。この刺激に対処しながら、次の活動に移るのは、とても難しいことなのです。
2.3 「次は何をするんだっけ？」の難しさ
ADHDのあるお子さんは、「実行機能」と呼ばれる能力に課題があることがあります。これは、計画を立てたり、順序よく行動したりする能力のことです。そのため、今の活動を終えて次の活動に移る際、何をすればいいのか混乱してしまうことがあるのです。
学校での様子：どんなことが起きているの？
3.1 教室での困りごと
学校生活では、様々な場面で気持ちの切り替えが必要になります。具体的な例を挙げてみましょう：
- 朝の会から授業への切り替え：
例）朝の会で楽しく話していた内容が頭から離れず、国語の授業に集中できない。 - 教科ごとの切り替え：
例）算数の問題を解き終わっていないのに、次の理科の授業が始まってしまい、混乱する。 - 授業から休み時間への切り替え：
例）授業中に集中していた状態から急に自由時間になり、何をして遊べばいいか分からなくなる。 - 給食の準備や片付け：
例）お気に入りの給食当番の仕事に没頭してしまい、食べる時間が足りなくなる。
これらの場面で、お子さんが戸惑ったり、時間がかかったりすることがあるかもしれません。
3.2 先生たちへのお願い：効果的なサポート方法
先生方には、以下のようなサポートをお願いできると良いでしょう：
- お子さん一人ひとりの特性を理解し、個別のサポート計画を立てる：
例）苦手な切り替えの場面を把握し、事前に声をかけるなどの対策を立てる。 - 教室の環境を整える：
例）明るさの調整（カーテンで光を調節する）、静かな場所の確保（教室の隅にパーティションで仕切ったスペースを作る） - 指示は簡潔に、一つずつ伝える：
例）「教科書を開いて、鉛筆を持って」ではなく、まず「教科書を開いてください」と言い、それができたら次に「鉛筆を持ってください」と伝える。 - 視覚的な手がかり（スケジュール表など）を活用する：
例）黒板の隅に1日の予定を絵や文字で示し、終わった活動には印をつけていく。
おうちでできる！7つの寄り添い方
4.1 「いつも通り」を大切にする工夫
毎日の予定を視覚的に示すカレンダーを作ってみましょう。例えば、マグネット式のボードを使って、朝食、学校、おやつ、宿題、お風呂、就寝などの絵カードを並べます。変更がある時は、できるだけ前もって伝え、カードの位置を一緒に動かすようにしましょう。
4.2 リラックスできる空間づくり
お子さんが落ち着ける「特別な場所」を作りましょう。例えば、クローゼットの中にクッションを敷き、お気に入りのぬいぐるみを置いた「秘密基地」を作ります。ストレスを感じたときに自由に使えるようにしておくと、お子さんの心の支えになります。
4.3 「できたね！」をたくさん伝える
気持ちを切り替えられたとき、たとえ小さなことでも、「すごい！できたね！」と具体的に褒めましょう。例えば、「テレビを消して宿題に取り組めたね。すごく頑張ったね！」と、何ができたのかを明確に伝えます。
4.4 感情を言葉にしてみる
「今、悲しいの？」「イライラしているように見えるけど、どんな気持ち？」など、お子さんの気持ちを言葉にしてみましょう。例えば、友達とケンカして帰ってきたお子さんに「悔しかったんだね。どんなことが一番つらかった？」と聞いてみるのも良いでしょう。
4.5 「次はどうする？」を一緒に考える
「おもちゃの片付けが終わったら、次は何をしようか？」など、次の行動を一緒に考える習慣をつけましょう。例えば、「宿題が終わったら、15分だけゲームをして、それからお風呂に入ろうか」というように、具体的な計画を立てます。
4.6 小さな成功体験を積み重ねる
最初は簡単なこと、例えば「歯磨きの後、パジャマに着替える」など、小さな目標から始めましょう。できたら花丸シールを貼るなど、視覚的に成功を実感できるようにするのも効果的です。
4.7 遊びの中で学ぶ楽しさ
「赤信号でストップ！」や「フルーツバスケット」など、楽しみながら切り替えの練習ができる遊びを取り入れましょう。例えば、音楽を流して踊り、音楽が止まったら動きを止める「フリーズダンス」も、楽しく切り替えを学べる遊びの一つです。
感情をコントロールする力を育てるコツ
5.1 声かけの方法
- 肯定的な言葉を使う：
例）「走っちゃダメ」→「歩こうね」
例）「泣かないの」→「どうしたの？話してくれる？」 - 選択肢を与える：
例）「お風呂に入る？それともご飯にする？」
例）「赤いTシャツと青いTシャツ、どっちを着る？」 - 感情を認める：
例）「悔しかったね。でも、よく頑張ったよ」
例）「怒っているんだね。落ち着いたら、どうしてそう感じたのか教えてくれる？」
5.2 子どもの意欲の引き出し方
- 子どもの興味に合わせた活動を提案する：
例）虫が好きな子には、一緒に庭で虫探しをしながら外遊びの時間を作る。 - 成功体験を増やし、自信をつけさせる：
例）料理が好きな子には、サラダ作りを任せてみる。上手くできたら家族みんなで褒める。 - 子どもの努力を具体的に褒める：
例）「宿題を最後まで頑張ったね。途中で休憩を取りながらも、あきらめずにやり遂げたのがすごいよ」
これらの具体例を参考に、お子さんの個性や家庭の状況に合わせてアレンジしてみてください。一つひとつの小さな積み重ねが、お子さんの成長につながっていきます。
まとめ：お子さんのペースを大切に
気持ちの切り替えの力は、少しずつ育っていきます。一朝一夕には身につきませんが、日々の小さな積み重ねが大切です。お子さんのペースを尊重しながら、焦らず、ゆっくりと成長を見守っていきましょう。
たとえ今は難しくても、お子さんなりの努力を認め、寄り添い続けることが何より大切です。皆さんの愛情と支えが、お子さんの大きな力になります。一緒に、楽しみながら成長の過程を歩んでいきましょう。
