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発達障害児を支える!年齢別・障害福祉サービスガイド

障害福祉サービス 子育て

発達障害と障害福祉サービス:子どもから大人まで

発達障害や発達に心配があるお子さんを持つ親御さんにとって、将来への不安は大きなものでしょう。「このまま大きくなったらどうなるのか」という懸念は多くの方が抱えているのではないでしょうか。本記事では、そんな不安を少しでも和らげるため、成長をサポートするための障害福祉サービスについて、子どもから大人まで順を追って解説していきます。

障害福祉サービスの基礎知識

障害福祉サービスの概要

障害福祉サービスとは、様々な障害のある方が地域で自立した生活を送れるよう、多様な支援を提供する制度です。身体障害、知的障害、精神障害に加えて、発達障害(学習障害、協調性運動障害、ADHD、ASD、広汎性発達障害など)のある方も、この制度を利用することができます。

障害福祉サービスを利用するには、障害福祉サービス受給者証が必要です。この受給者証の発行は、次のような流れで発行されるため、手元に届くまでには少々時間が掛かります。

  1. 相談:まず、お住まいの市区町村の障害福祉課に相談します。
  2. 申請:障害福祉サービスの利用申請を行います。
  3. 障害支援区分の認定:介護の必要度を判定する認定調査が行われます(一部のサービスでは不要)。
  4. 審査会:市区町村審査会で障害支援区分が判定されます。
  5. 支給決定:利用できるサービスの種類と量が決定されます。
  6. 受給者証の交付:決定された内容に基づいて受給者証が発行されます。

発達障害の場合、診断書や意見書など、医師による障害の状態の証明が必要となることがあります。

主な障害福祉サービスの種類と対象

  • 介護給付:居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、療養介護、生活介護、短期入所など
  • 訓練等給付:自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、共同生活援助(グループホーム)など
  • 障害児通所支援:児童発達支援、放課後等デイサービスなど
  • 相談支援:計画相談支援、地域移行支援、地域定着支援など

これらのサービスは、個々の状況や年齢、障害の特性に応じて適切なものを選択し、利用することができます。発達障害のある方も、その特性や必要性に応じて、これらのサービスを活用することで、より充実した地域生活や社会参加を実現することができます。

サービスの利用にあたっては、専門家や支援機関に相談しながら、個々のニーズに最も適したサービスを選択することが重要です。また、定期的に支援計画を見直し、状況の変化に応じてサービスを調整していくことも大切です。

就学前の支援:児童発達支援

児童発達支援は、未就学の障害児を対象とした通所サービスです。利用期間は、原則として就学前までです。 児童発達支援の利用者負担は、2022年10月より原則として無償化されました。これにより、世帯の所得に関わらず、0歳から5歳までの子どもたちが無償で児童発達支援サービスを利用できるようになりました。この政策変更は、障害のある子どもやその家族の経済的負担を軽減し、必要な支援をより受けやすくすることを目的としています。

ただし、食事の提供や送迎サービスなどの実費部分については、施設によって料金が発生する場合があります。これらの付加的なサービスの料金については、各施設に直接お問い合わせいただくことをお勧めします。

なお、制度の詳細や個別の状況については、お住まいの自治体の障害福祉課にご確認ください。無償化により、経済的な理由で支援を受けられないといった障壁が取り除かれ、より多くの子どもたちが適切な発達支援を受けられるようになりました。

専門的な支援体制が特徴

児童発達支援管理責任者、保育士、児童指導員、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士などの専門スタッフが配置されています。各専門家が連携して、子ども一人ひとりの発達段階や特性に合わせた支援計画を作成し、実施します。

各施設により特化している療育分野が異なり、多様なプログラムでお子さんの成長を支援しています。ですから、お子さんに一番必要な施設を選ぶことができます。

  • 個別療育:子どもの特性や課題に応じて、一対一で集中的に行う支援です。
  • 集団療育:小グループでの活動を通じて、社会性やコミュニケーション能力の向上を図ります。
  • 言語訓練:言語聴覚士による発声・発語や言語理解の訓練を行います。
  • 作業療育:日常生活動作の獲得や手先の巧緻性向上などを目的とした活動を行います。
  • 運動療育:粗大運動能力の向上や身体協調性の発達を促す活動を提供します。
  • 感覚統合療法:感覚処理の問題に対応するための特殊な遊具や活動を用いた支援を行います。

お子さんの成長に悩みを抱える親御さんのための支援も

定期的な面談を通じて、子どもの発達状況や支援内容について情報共有をしたり、家庭での関わり方や環境調整についてのアドバイスを提供しています。また、保護者同士の交流の場を設け、情報交換や相互支援の機会をつくっているところもあります。

就学に向けたサポートとして、保育所や幼稚園、学校などの関係機関と連携し、スムーズな移行支援を行います。地域の子育て支援センターや医療機関とも連携し、包括的な支援体制を構築しています。

通所開始までの流れ

支援には大きく分けて2つの施設があり、専門性の高い機関で、地域の中核的な役割を担う児童発達支援センターと、より小規模で、地域に密着したサービスを提供する児童発達支援事業所があります。事業所に通うお子さんが圧倒的に多いです。

自治体の障害福祉サービスの窓口に行くと、事業所のリストがもらえます。その中から、気になる事業を見つけて問い合わせをしてみてください。また、口コミで知り合いから事業所を紹介してもらったり、幼稚園の先生から教えてもらったり、かかりつけの病院から紹介してもらうこともあります。ですから、色々と情報収集をしてみましょう。

一度事業所のプログラムを体験し、楽しく通えそうだなと感じて、そのまま通所する流れになります。ただ、事業所には開所の時間が決まっていて、定員も決まっています。ですから、通える時間と曜日、今空きがあるかどうかも欠かさずチェックが必要です。

これらの施設では、お子さんの発達段階に合わせた支援を受けることができ、就学に向けての準備や日常生活スキルの向上を図ることができます。

学齢期の支援:放課後等デイサービス

放課後等デイサービスは、学校就学中の障害児を対象とした放課後や長期休暇中の通所支援サービスです。学校生活と家庭生活の連携を図りながら、子どもの自立を促進する支援が行われます。

学校就学中(6歳~18歳)は利用が可能なので、高校生まで通うことができます。 料金は、世帯の所得に応じて決定します。多くの場合は、1割負担となります。 利用日数は、個々の状況に応じて決定されますが、週5日の利用も可能です。

施設の特徴

  • 放課後の居場所提供
  • 生活能力向上のための訓練
  • 創作活動や地域交流の機会提供
  • 学習支援

保護者にとって、放課後の居場所提供はかなり助かります。児童クラブに通えない場合、小学一年生の下校時間が14時となりますから、帰宅後は家にずっといることになるからです。お仕事をしている家庭は当然、仕事に出ていなくても、子どもがずっと家でゴロゴロされるのも困りものです。

放課後、何か活動して成長につなげたいと考える家庭には、放課後デイサービスがぴったりです。子どもが飽きやすいので、日々子どもが飽きないようなイベントや取り組みを考えてくれますし、そのうちデイサービスで友達もできるようになり、デイサービス内での友達付き合いが広がります。こうして、デイが学校に次ぐ、社会交流の場となっていきます。

デイサービスでは、毎日出される学校の勉強に取組んだ人から遊んだり、おやつタイムがあります。ですから、家に帰る前には宿題が終わり、親は大助かりです。宿題の分からない内容は、施設の先生が教えてくれるので支援をしてもらいながら宿題に取組むことができます。

支援の種類

  1. 発達支援型:療育や訓練に重点を置いたサービス
  2. 余暇支援型:レクリエーションや交流に重点を置いたサービス
  3. 学習支援型:学習面のサポートに重点を置いたサービス

大きく3つのタイプに分かれますが、このサービスは利用日数内であれば、複数の事業所に通うことができます。ですから、学習支援型と発達支援型とで組み合わせて通うこともできます。お子さんに一番合った支援を組み合わせて、発達を支援していきましょう。

事業所には小学生が多い施設や中学生が多い施設だったり、就労支援に重きを置いた施設など、様々な施設があります。17時や18時に閉所の事業所が多いですが、閉所の時間も施設によって異なるので、共働きのご家庭で遅い時間まで預かってもらえる事業所さんもあります。ですから、お子さんの成長に合わせて、親御さんのお仕事事情に合わせて、上手に事業所とお付き合いしていくのがポイントです。

就労移行支援

就労を希望する障害者に対して、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。

一般企業等への就労を希望する65歳未満の障害者を対象として、原則2年間(最大3年間)の次のような訓練や支援を受けることができます。

  • 職業能力の向上のための訓練
  • 職場実習や職場見学
  • 就労に関する相談や支援
  • 就労後の職場定着のための支援

就労移行支援の利用には、一般就労への意欲と、概ね3年以内に一般就労が見込めることが条件です。そして、一般就労後は、就労定着支援という別のサービスを受けることができます。新たに利用申請が必要となるサービスですが、最長3年間受けることができます。ですので、6年間就労に関しては支援が受けられることになります。

一方、就労移行支援終了後、すぐに就職できない場合は、就労継続支援A型やB型の利用を検討することができます。原則として、就労移行支援は生涯で1回しか利用できませんので、注意してください。

就労支援A型、B型

就労継続支援A型(雇用型)

一般企業での就労が困難な人に、雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、能力等の向上のために必要な訓練を行います。

特徴としては、雇用契約を結ぶため、最低賃金が保障されます。一般就労に近い形態で働くことができるので、勤務時間も長くなり、月にまとまった金額が給与として支払われることになります。仕事の内容は事業所によって様々ですから、自分に合った仕事内容を探すと良いでしょう。就労に必要な知識・能力の向上のための訓練も受けられるため、一般就労を目標にして、まずA型で頑張ってみるという働き方もありです。

就労継続支援B型(非雇用型)

一般企業での就労が困難な人や、A型での就労が困難な人に、就労や生産活動の機会を提供し、能力向上や維持を図ります。B型の特徴は、雇用契約を結ばず、作業の対価として工賃が支払われることになります。時間も自分に合わせて、短時間で働くこともできます。ですから、比較的障害の重い方でも利用しやすいというメリットがあります。

ただ、収入面では、期待できないでしょう。収入面で期待するというより、社会に出て働くということ、人と円滑にコミュニケーションを取ることなど、生産活動を通じて、就労に必要な知識・能力の向上を図っていくことを目的に利用していく事業所です。

どのサービスも、利用者の能力や適性に応じて選択することができ、就労を通じての自立支援や社会参加の促進を目指しています。ですから、自身の状況や目標に照らし合わせて、慎重に検討することが重要です。具体的な利用方法や条件については、お住まいの自治体の障害福祉課や相談支援事業所に相談をしてみてください。

まとめ

発達障害や知的障害のある方々にとって、ライフステージに応じた適切な支援を受けることは、将来の自立と社会参加にとって非常に重要です。本記事で紹介した障害福祉サービスは、それぞれの段階で必要な支援を提供し、個々の能力を最大限に引き出すことを目的としています。

児童期には児童発達支援や放課後等デイサービスを通じて基本的なスキルの獲得や社会性の育成を図り、就学期には学校生活と連携しながら総合的な発達を支援します。そして、成人期に向けては就労移行支援や就労継続支援を通じて就労能力の向上と社会参加を促進し、必要に応じてグループホームや訪問看護などの生活支援サービスを利用することで、地域での自立した生活を実現することができます。

これらのサービスを上手く活用することで、発達障害や知的障害のある方々も、その人らしい豊かな人生を送ることができるのです。ただし、個々の状況や必要性に応じて適切なサービスを選択することが重要です。そのためにも、早い段階から専門家や支援機関に相談し、長期的な視点で支援計画を立てていくことをお勧めします。

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